天狗せんべいを手に取っていただくと、独特の形をしていることにお気づきになるかと思います。これは、大雄山最乗寺に伝わる天狗伝説に登場する天狗が持つ「ヤツデの葉」をモチーフにしているのです。ヤツデは、手のひらを広げたような形の葉を持つ植物で、その葉の形が天狗の持つ団扇に似ていることから、「天狗の羽団扇（はうちわ）」とも呼ばれています。

大雄山最乗寺は、古くから天狗信仰の霊場として知られており、境内には多くの天狗像が祀られています。天狗は、山伏の姿で、高い鼻と赤い顔、そして羽団扇を持っている姿で描かれることが多いです。この羽団扇は、天狗が神通力を使って風を起こしたり、悪を払ったりする際に使うとされています。

なぜヤツデの葉が天狗の羽団扇として用いられるようになったのでしょうか。ヤツデの葉は、７つまたは９つに深く切れ込んでおり、その形が神秘的な印象を与えます。また、常緑樹であるため、一年を通して青々とした葉を見ることができ、生命力や不老長寿の象徴とも考えられてきました。こうしたことから、天狗の持つ特別な力、神聖な力を表す象徴として、ヤツデの葉が選ばれたのではないかと言われています。

大雄山にお越しの際は、ぜひ村上商店にお立ち寄りいただき、天狗せんべいの味わいと、その背景にある物語を感じてみてくださいね。


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